あるがせいじ Seiji Aruga 「1018」


あるがせいじ Seiji Aruga 「1018」 created in 2010, bought from Roentgenwerke AG in March 2010





一見、分かり難いですが、紙を重ねた作品です。

あるがさんの他の作品は紙を切ることで空間を広げていくものや、奥から手前に重なっていく作品も多いようですが、この作品は切り抜いているのと同時に、下から上への積み上げ型で、ブレードランナーに出てきそうな高層ビル群だったり、組積構造の建築物をイメージさせます。

1枚1枚紙を切って重ねて、、、どれだけの根気が必要なんでしょうか。

「あるがせいじ」で検索すると、主に紙を使った技巧的な作品が色々ヒットすると思います。

あるがさんの作品については、建築·構造的なイメージを刺激するので気に入っています。

数式で表されるほどカッチリした幾何学的な形態では無いとは思いますが、作品を見ていると、段によって切り抜く面積や数を決めているのかなと思わせられ、統一感の裏に法則を見い出したくなる欲求を刺激します。

今は数式を見てもさっぱり理解できませんが、昔、マクローリン展開の式がグラフになって目で見えた時に随分スッキリしたのを覚えています。関数等の数式が2Dや3Dのグラフで視覚的に表現されるのは快感でしょうし、逆にアンモナイトやオウム貝の貝殻を螺旋数式で表現しようとする人もいるようで、数式と現象を行ったり来たりするのは楽しいのかもしれません。

どのように制作されているのかは知りませんが、作品を制作する前に法則を決めて、色々な構造を実験しているのでしょうか。感情を表現するようなアーティストと違って、かなり建築家的な方なのかもしれないですね。

また、手作業の暖かみというか、隙間に人間の思考が入る事が出来るような余裕も感じて、完全に法則を決めて機械で削り出してこういった作品を作ってもあまり好きにはなれないかもなと思います。

多くの時間と思考の集積を、作品を通じて一瞬で鑑賞者に伝えられる表現の強さ、また鑑賞者のイマジネーション広げていく表現の工夫に感銘を受けます。

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