青木野枝 Noe Aoki 「空玉2016-46」


青木野枝 Noe Aoki 「空玉2016-46」 created in 2016, bought from Gallery 21yo-j in Sep 2016


彫刻家の青木野枝さんの作品です。

http://www.aokinoe.jp/index.html

時期は良く覚えていないのですが、青木さんの作品を始めて拝見したのは東日本橋にあったギャラリーハシモトさんでの展示だったと記憶しています。そこで、衝撃を受けたのを覚えています。

その後、Gallery 21yo-jさんでの展示を何回か拝見し、同様に衝撃を受けて、2016年に小さな作品を購入しました。

http://gallery21yo-j.com/aoki-noe-16/




その時の展示の文章です。

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今興味があるのは、上昇と下降、もどる水、ふりそそぐもの。
そして、覆われていくもの。
天蓋。その下の世界です。(青木野枝)

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圧巻の一言で、鉄のような重い素材でギャラリー空間全体を埋め尽くすような使い方が出来るんだという驚きとともに、重力に反して雨が天に登っていくような、鉄という重い素材を使いながら、物理法則を逆転させるような、非現実的な感覚を覚えさせる展示でした。

重さは力で、その重圧を感じつつも、逆に、軽さを感じてしまうような、不思議な空間でした。

また、2014年だとは思うのですが、Gallery 21yo-jさんで「原形質」という展示も見たのですが、これも圧巻でした。

http://gallery21yo-j.com/aoki-noe-14/

青木さんの作品は鉄を使用し、中心に重量を凝縮させない、どちらかというと外部への拡張や空間を意識させる作品が多いと思いますが、「原形質」の展示では、良く彫刻で言われる塊(マッス)を意識させつつ、ギャラリーの白い空間と石膏の白色が自然光を反射して、青白い空間が全体に広がるような、彫刻が塊でありつつも同時に空間に溶け込むような不思議な感覚を受けました。

彫刻作品ではあると思うのですが、展示されるスペースとの関係に作用し、その空間と作品を全く別のものにしてしまうような強力な作用を展示から感じました。

2020年に府中市美術館で青木野枝さんの「霧と鉄と山と」の展覧会に行きましたが、ギャラリーでの展示とは大きく印象が異なり、展示される場所による作品の見え方の違いが印象的でした。

下の写真は青森公立大学国際芸術センターに行った時に撮影した写真です。アーティストレジデンスや展示スペースが充実している事で有名な施設ですが、敷地の中に青木さんの立体作品が展示されており、雪が降り始めた頃にひっそりと伺いました。




聴こえてくるのは雪を踏みしめる音、姿は見えないけれども何処かにいる鳥の声、木から落ちてきた雪が地面に当たる音、そんな中に現れる作品からは不思議な存在感を感じました。

ホワイトキューブの中に設置される作品と違って、周囲の影響を大きく受け、作品の印象も四季や環境で変化していくのでしょう。贅沢な鑑賞体験だなと思います。

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