東美貴子 Mikiko Azuma 「glass and water」


東美貴子 Mikiko Azuma 「glass and water」 created in 2011, bought from HARMAS gallery in April 2011


アクリル版が反射して見え辛いですが、小さい粒々のモザイクを支持体に貼った作品です。



他の作品の画像ですが、非常に繊細な表現の作品です。

購入したのは2011年ですが、2017年の展覧会の際の紹介文をアルマスギャラリーの八木さんに頂いたので、作家さんの言葉をそのまま記載します

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

世界のすべてのものは、小さなつぶつぶでできていて、無数の粒が集まったり離れたりすることによってこの世界に存在している。

科学で証明されているより遥か昔、古代ギリシャの時代から直感的に人々はこの事を知っていた。

微生物が有機物を分解して土に還すように、私も日常で要らなくなったものを細かくカットして小さな色の粒を作る。

その粒を様々な組み合わせで置きながら、重ね合わせた風景や、光や水の痕跡、有機物の集合体のようなものを描いている。

最初の一粒目を置くときは、何かが生まれる瞬間に立ち会うような気持ちになる。

作品が出来上がる過程では、多くの事が起こり、私の頭の中に過ぎることも日々変化する。

意識することはないけれど、私自身の細胞の一粒一粒も毎日入れ替わっているらしい。

季節の影響で、紙は張ったり弛んだりし、糊の濃度の加減も違う。

カットする紙も、実際自分が生活の中で使っているものなので、都合の良い色や素材が揃うわけではない。

そんなわけで、かたちは最後の最後まで予測できない。

時間をかけた作品の、最後の一粒を配置してほっとしていると、ふと傍らに置いてある虫喰いだらけの古本が目に入る。

今出来上がったばかりの作品も、未だ変化の過程にあって、想像のつかない道筋でいつか一粒に戻ってしまう日が来るのだ。

たぶん私自身がそうであるように。

東美貴子 (美術作家)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

作家さんにはお会いしたことが無いのですが、私が作品を購入した時に感じた感覚と比較的近い感覚が記載されていて、しっくりきました。

私が購入した作品は、形態が泡になってゆっくりとピクセルに分解されていく時の、少し快感を伴う変化が描かれていると感じています。

作家さんの他の作品は、光の粒を配置した夜景のような、色とりどりの珊瑚のような、綺麗で不思議なイメージの作品が多かった気がしますが、なぜか私は変化を感じるこの作品を選びました。

死生感として、「存在から消滅へ」というよりも、「統合から分解へ」という感覚が思い起こされたのを覚えています。

2021年位に作家さんの近況をアルマスギャラリーの八木さんからお聞きする事があったのですが、最近では、海岸でプラスチックごみ等を回収して、それを細かく分解してカラフルな作品を制作されているとお聞きした気がします。

もともと、使用済みの紙製品を用いて制作されていたと記憶していますが、お子さんも産まれたようで、海洋のマイクロプラスチック問題が騒がれている中、次の世代に対する環境意識もより高くなられているのかなと推測いたします。

アルマスギャラリーの八木さんはいつも丁寧に説明して頂いて、感謝しています。

アルマスギャラリー
http://harmas.fabre-design.com/

コメント