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奥天昌樹 Masaki Okuen 「untitled (layer)」

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奥天昌樹 Masaki Okuen 「untitled (layer)」 created in 2018, bought from みんなの Gallery in July 2024   https://okuten-masaki.com/ 製作の意図を完成度の高い画面から感じることが出来ていい作品だなと思いました。 作家さんのステートメントを転載します。 奥天昌樹 ステートメント 奥天昌樹は美術史におけるコンテクストを画面上から意図的に取り除くことで、絵画が孕んでしまう美術史的な背景や、絵画空間内に配置されたモチーフから伝わってしまう過剰な意味性を シャットアウトし、美術史によって解釈される範囲よりもさらに広く普遍的な感覚で人々が触れることのできる絵画表現に取り組んでいます。 作品との出会いは人と人との出会いのようにアクシデントめいたものとして捉えており、キャンバスをカットし支持体に手を加えることで、作品が設置される空間内でより際立った異物のよう な存在感と物質感を与えます。シェイプドキャンバスは四角形の紙の隅をちぎるような感覚で作られており、鑑賞者が矩形のフィールドから解放された絵画空間に飛び込むことを可能にする役割も担っています。 「新生児の甥との出会いから始まり人間としてのアイデンティティを獲得する前の5歳未満の幼児の落書きに原始的な線を感じた」と作家は述べています。作品内の真っさらな線は幼児期だったころの他者の落書きのフォルムであり、マスキングにより画面深部から最前部に表出することで、旧く遥か彼方の洞窟壁画の描き手と筆談するかのように時空を超越しつつ、一つの絵画空間内でそれぞれの存在を繋ぎ合わせます。 幼少期の記憶は本人が覚えているか覚えていないかには関わらず誰もが経験として本来持っているものです。そういった記憶や感覚に鑑賞者が思いを馳せることができるよう、画面の深部に転写した記憶の手がかりを追憶し対話するように絵の具を重ねていきます。そうして層状に被覆されたマスキングを最後に剥がすことで、これまでの絵の具の階層を貫く白いラインを残してフィニッシュします。この行程の理由を作家は「描画材が生まれる前の線の成り立ちは轍や削られた溝のようなものが最初であり、その理屈で言うと線というのは凹凸になっているのが自然である」 と語っています。 真っさらな白線とエフェクト